祇園坊柿(チョコちゃん)とは
全国観光土産品連盟による「第56回全国推奨観光土産品審査会」において、チョコちゃんが【推奨品】に選ばれました!広島県では過去にわずか6例のみとなります。
~快挙!準グランプリ受賞! 日本最大級の全国お土産コンテスト「おみやげグランプリ2015」~
日本の課題を20年先取りする山里、安芸太田町発の地方創生ドキュメンタリー!
~おばあちゃんと若者の情熱がまちを動かす「NEWチョコちゃんプロジェクト」~ 広島県では、あの「バッケン・モーツアルト」が「銅賞」を受賞して以来の快挙!
その甘味と大きさから“柿の王様”と称される「祇園坊柿(ぎおんぼうがき)」のスイーツ「チョコちゃん」が、国内最大級の地方お土産コンテストである「おみやげグランプリ2015」において、県内最高位の『準グランプリ』を受賞!その誕生秘話とは・・・!?
広島県安芸太田町は、広島市から約50分のところにある、人口7千人、高齢化率46%の山あいの町。どこにでもあるような、人口減少・高齢化・空き家の増加に悩む過疎の町・・・と思いきや、とある「おみやげ」を巡る取り組みが、いま全国から注目されています。その火付け役になったのは、なんと平均年齢80歳のおばあちゃんたちでした。
その「おみやげ」とは、安芸太田町が日本一の生産量を誇る祇園坊柿で作ったお菓子「チョコちゃん」のこと。過疎地の小さな工房「寺領味野里(じりょうあじのさと)」のおばあちゃんたちが、今から13年前に作り始めました。「『何も無い』と言われる地元を何とかしたい」との想いから誕生したチョコちゃん。その想いの強さから、作業は採算度外視かつ無報酬で行われました。そのためもあり、当初20人以上いたメンバーは、いつの間にか7人まで減少。それでも、残ったおばあちゃんたちはチョコちゃんを作り続けました。
変化が起きたのは、チョコちゃんを作り続けて12年目のこと。おばあちゃんたちの宝物とも言えるチョコちゃんが、国際的な食品コンテスト「モンドセレクション」で「銅賞」を受賞したという知らせが届きました。
「日本一平均年齢の高い工房で作られたお菓子が、名誉ある認証を受けた」というニュースは瞬く間に広がり、おばあちゃんたちは一躍時の人になりました。 「今まで給料もなく、地域のためと思って細々と11年間やってきた。こうやって認められて、やってきて本当に良かったと思う」 メンバー最年長・90歳のおばあちゃんは、安芸太田町始まって以来の快挙をこう喜びました。
「チョコちゃんを、町を代表するおみやげにしよう」
呼びかけたのは、町の観光協会。以前からチョコちゃんの潜在能力に目を付け、モンドセレクションへの出品を仕掛けた張本人でした。
それに応えるように、おばあちゃんたちの「想い」に共感した、町の若者たちも続きます。祇園坊柿の生産農家や陶芸家、WEB制作のスペシャリスト、地域おこし協力隊など、その顔ぶれはさまざま。若者たちは、それぞれのスキルを活かし、チョコちゃんのブラッシュアップをスタートさせます。 しかし、唯一欠けていたピースがありました。お菓子作りのスペシャリストが足りない…。
そこに手を差し伸べたのは、日本有数のパティシエ・大塚良成氏。おばあちゃんたちの「想い」を伝え聞き、チョコちゃんの製造監修を引き受けました。 「想い」を届けたのは、町の若者たち。チョコちゃんを握りしめ、博多に拠点を構える大塚氏のもとを幾度も訪ねました。断られて当然のオファーだったものの、おばあちゃんたちへの「共感」が大塚氏の心を動かしました。
「ご高齢の方がこんなに頑張っているのだから、私も頑張らないといけない」
のちにおばあちゃんたちの加工場を訪れた大塚氏は、涙ぐみながらにこう話しました。そして、おばあちゃんたちと一緒に、新しいチョコちゃん作りを始めました。
より洗練されたお菓子に生まれ変わり、大好評を博するチョコちゃん。次なる課題は「生産力不足」でした。販売する道の駅では「土日限定販売 お一人様2つまで」という品薄状態が続きます。しかし、おばあちゃんたちの体力では到底生産が追いつきません。
そのおばあちゃんたちを救うべく、今度は地元事業者が立ち上がりました。チョコちゃんの生産に「百姓屋」「きっちんたまがわ」が加わり、おばあちゃんたちを含む3事業者での共同生産がスタート。生産量10倍超を目指し、チョコちゃんの環はさらに拡がっていきます。
「チョコちゃんは、私たちにとって“たからもの”です」
チョコちゃんを作り始めて14年目の2015年1月、日本最大級のお土産コンテスト「おみやげグランプリ」の表彰式に立ったおばあちゃんは、チョコちゃんのことをそう表現しました。 「準グランプリ受賞」の栄冠は、広島県内でも最高位。しかし、おばあちゃんは決して偉ぶらず、謙虚にこれまでの道のりを振り返ります。祇園坊柿の生産農家が柿を守り続けてくださったから今がある。大塚氏が新しいチョコちゃん作りの道筋を示してくださったから今がある。町の若者が、事業者が、行政が、そして言い尽くせないほど多くの方が力を貸してくださったからこそ、今のチョコちゃん、今の自分たちがある。
「これまでに関わってきた人たちとの“出会い”すべてが“たからもの”です」
おばあちゃんは、受賞者インタビューをそう締めくくりました。
チョコちゃんは、単なる「おみやげ」ではありません。チョコちゃんは、安芸太田町の産物、歴史、文化、風景、産業、くらし、そして人情を伝えてくれる「たからもの」です。
もし、あなたがチョコちゃんを手に取ったなら、それは新たな「出会い」の始まり。チョコちゃんの裏側にある、たくさんの物語を想像してください。
河内 佑真(かわち・ゆうま)
2013年4月より安芸太田町地域おこし協力隊。商店街の空き店舗(元眼鏡店)を拠点に、若者のU・Iターン促進に取り組んでいる。