解体予定だった住宅が、新たな観光スポットへ。源田資料館誕生の物語と、館長が語る源田實という人物
3分でわかる源田資料館
源田資料館は、広島県安芸太田町加計にある資料館です。ブルーインパルスの生みの親として知られる源田實氏の功績や人柄を伝える資料を展示しています。
1分でわかる源田資料館
源田資料館は、広島県安芸太田町加計にある資料館です。 ブルーインパルスの生みの親として知られる源田實氏の功績や人柄を伝える資料を展示しており、 解体予定だった住宅をリノベーションして誕生しました。

広島県安芸太田町加計に、新たな観光スポット「源田資料館」がオープンしました。
館内では、旧日本海軍航空隊で活躍し、戦後は航空自衛隊の創設にも関わった源田實(みのる)氏にまつわる貴重な資料を見ることができます。
源田實氏は、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の創設に関わった人物としても知られています。歴史や航空機に詳しい方はもちろん、初めて名前を聞く方にとっても、日本の航空史や戦後の歩みを知るきっかけとなる場所です。
しかし、この源田資料館は、最初から資料館として建てられたものではありません。
もともとは源田家の住宅として使われていた一軒の建物でした。一時は解体も検討されていたその住宅が、多くの方の想いと協力によって、資料館として新たな役割を持つ場所へと生まれ変わったのです。
今回は館長へお話を伺いながら、資料館誕生までの歩みや展示資料に込められた想い、そして源田實氏という人物について取材しました。
源田資料館とは

源田資料館は、広島県山県郡安芸太田町加計にある資料館です。
旧日本海軍航空隊で活躍した源田實氏と、その兄であり加計町長として地域にも関わった源田松三氏の足跡を、加計の地から次世代へ伝えることを目的としています。
館内には、源田實氏に関する写真、書簡、資料、ゆかりの品などが展示されています。戦争や航空史に関心のある方だけでなく、安芸太田町の歴史や加計のまちの歩みに関心のある方にも、ぜひ訪れていただきたい場所です。
また、源田資料館の魅力は、展示物を見るだけではありません。
タイミングが合えば、館長から展示資料にまつわる背景やエピソードを聞くこともできます。資料だけを見ていては分からない人柄や、当時の出来事の背景に触れられることも、この資料館ならではの魅力です。
ブルーインパルスの生みの親・源田實とは
源田實氏は、広島県加計町、現在の安芸太田町加計出身の人物です。
旧日本海軍航空隊で航空作戦に携わり、戦後は航空自衛隊の創設にも関わりました。さらに、航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」の創設に関わった人物としても知られています。
ブルーインパルスといえば、全国各地の航空祭や大きなイベントで展示飛行を行い、多くの人に親しまれている存在です。その背景に、安芸太田町加計出身の源田實氏が関わっていたことを知ると、この地域と日本の航空史とのつながりをより身近に感じることができます。
源田資料館は、そうした源田實氏の功績だけでなく、展示資料を通して、その人柄や家族、地域との関わりにも触れられる場所です。
解体されるはずだった住宅が資料館になるまで


現在の源田資料館は、もともと源田家の住宅として使われていた建物です。
ご家族が関東へ移られ、建物の維持管理が難しくなったことから、解体も検討されていました。
しかし、建物を解体するには大きな費用がかかります。
そこで、
「この建物を、何か別の形で活用できないだろうか。」
という話が持ち上がりました。
その中で生まれたのが、
「源田資料館として残そう。」
という構想でした。
ただし、建物があるだけでは資料館にはなりません。資料館として公開するためには、来館者に伝えられる展示資料が必要です。
そこで館長は、源田實氏のご家族が暮らす関東へ向かい、実際に資料を確認することになりました。
ご家族が大切に保管されていた資料を目にした館長は、資料館として伝えられるだけの価値があると感じたそうです。
そこから、空き家となっていた住宅を片付け、改修し、展示空間として整えていく作業が始まりました。
家一軒を片付けるという大仕事


資料館づくりは、建物を少し整えれば終わるようなものではありませんでした。
住宅には多くの家財が残されており、一つひとつ必要なものと不要なものを分け、処分し、整理していく必要がありました。
改修前の写真を見ると、現在の落ち着いた展示空間からは想像できないほど、建物の中には物が残されていました。
さらに、冬場には水道の凍結によって床が傷んでいた場所もあり、簡単に使える状態ではありませんでした。
それでも、関わった方々が少しずつ作業を進め、住宅だった建物は資料館としての姿へと変わっていきました。
源田資料館を訪れた際は、展示資料だけでなく、建物そのものにもぜひ注目してみてください。
この場所が、どのような過程を経て現在の姿になったのかを知ることで、見え方が少し変わってくるはずです。
「本当に大切な資料なので、よろしくお願いします」
館長が話してくださった中で、特に印象的だったのが、関東で資料を受け取った時のエピソードです。
源田實氏のご家族から預かった資料は、どれも代わりの利かない貴重なものばかりでした。
館長は、資料を受け取る際に、
「本当に大切な資料なので、よろしくお願いします。」
という思いとともに託されたそうです。
資料を車に積み込んだあと、館長の頭の中にあったのは、
「無事に安芸太田町まで持ち帰らなければ。」
ということだけでした。
インタビュアー
「かなり緊張されたのではないですか。」
館長
「途中で何かあったら大変なので、食事も最低限でしたし、トイレもできるだけ寄らずに帰りました。」
展示されている資料一つひとつには、ご家族から託された想いと、それを未来へ残そうとする館長たちの責任感が込められています。
資料館で展示物を見る時、その背景にあるこうした物語を知っていると、資料の重みがより深く伝わってきます。
展示資料から伝わる、源田實という人物

源田實氏と聞くと、戦争や航空作戦、航空自衛隊、ブルーインパルスといった言葉を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、源田資料館で触れられるのは、功績や経歴だけではありません。
館内には、源田實氏の人柄を感じられる資料も展示されています。
その一つが、戦没した仲間へ毎朝手を合わせていたことを伝える資料です。
館内を案内していただいている途中、館長はその展示の前で足を止め、説明してくださいました。
こちらは、どのような資料なのでしょうか。
源田さんは、戦争で亡くなられた仲間の命日に合わせて、その日の日付を書いた紙を前に置き、毎朝手を合わせていたと伝えられています。
毎朝、続けられていたんですね。
そうなんです。戦果や功績が注目されることが多いですが、それだけではありません。亡くなられた仲間への思いを、生涯忘れることのなかった方だったと伝えられています。
この資料は、源田實氏を単なる歴史上の人物としてではなく、一人の人間として知るきっかけになります。
戦争の中心にいた人物でありながら、亡くなった仲間を思い続けていた。その姿を知ることで、展示資料の見え方も変わってきます。
源田資料館を訪れた際には、ぜひこの展示の前で立ち止まり、館長のお話にも耳を傾けてみてください。
高松宮との関係を伝える資料も
館内には、高松宮との関係を伝える資料も展示されています。
源田實氏は、海軍兵学校で高松宮親王と同期であり、その後も関係が続いていたといいます。
源田實氏が亡くなった際には、高松宮からお花料が届けられたことを示す資料も残されています。
こうした資料は、源田實氏が当時どのような人々と関わり、どのような立場で時代を歩んできたのかを知る手がかりになります。
展示ケースの中に並ぶ一つひとつの資料には、その時代の空気や人とのつながりが刻まれています。
全国から訪れる歴史ファン、自衛隊OBの方々
源田資料館には、広島県内だけでなく、全国各地から来館者が訪れています。
歴史に関心のある方、航空機が好きな方、自衛隊OBの方、そして源田實氏にゆかりのある方など、訪れる理由はさまざまです。
中には、源田實氏と実際に関わりのあった方が来館され、当時の話を館長へ伝えてくださることもあるそうです。
館長は、来館者から教わることも多いと話します。
資料館は、展示を見るだけの場所ではなく、訪れる人の記憶や知識が集まり、少しずつ新しい情報が重なっていく場所でもあります。
建物そのものにも残る歴史


源田資料館の建物は、もともと住宅として使われていた場所です。
そのため、館内には一般的な資料館とは少し違う、暮らしの気配が残っています。
応接室として使われていた場所には、かつて岸信介元首相も訪れたと伝えられています。
展示資料だけでなく、建物そのものが地域の歴史を伝える存在でもあります。
古い住宅が解体されるのではなく、新たな役割を持って残されたことにも、この資料館の大きな意味があります。
cafe GENDAでひと休み
源田資料館には、喫茶スペース「cafe GENDA」もあります。
見学の後に飲み物を楽しみながら、展示の余韻に浸ることができる場所です。
資料館というと、展示を見てすぐに帰る場所という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、源田資料館では、館内をゆっくり見学し、館長のお話を聞き、カフェでひと息つくことで、より深くこの場所の魅力を味わうことができます。
今後は新たなメニューも検討されているとのことで、資料館とともに楽しみが広がっていきそうです。
周辺散策とあわせて楽しむ加計のまちなか
源田資料館の周辺には、吉水園をはじめ、加計の歴史や自然を感じられるスポットがあります。
駐車場は、近隣の道が狭いため、太田川交流館かけはし(旧加計駅の町営無料駐車場)を利用し、徒歩で向かう形が案内されています。
車を停めて、加計のまちなかを歩きながら資料館へ向かうことで、地域の雰囲気もあわせて楽しむことができます。
資料館だけを目的に訪れるのももちろんおすすめですが、周辺の観光や食事と組み合わせることで、より充実した時間を過ごせます。
ご利用案内
源田資料館の基本情報は以下の通りです。
| 名称 | 源田資料館 |
|---|---|
| 所在地 | 〒731-3501 広島県山県郡安芸太田町加計3370 |
| 開館日・観覧方法 |
【土日祝日】予約なしで観覧可能 【平日】1時間ごとの貸切予約にて観覧可能 |
| 入館時間 | 10:00~16:00 |
| 閉館時間 | 17:00 |
| 入館料 |
【大人】1,000円 【子ども(中学生以下)】500円 |
| 平日貸切料金 |
1時間 1~2名まで 3,000円 3名以上の場合、3人目から1名につき1,500円追加 |
| 支払い方法 | 現金・クレジットカード利用可能 |
| 駐車場 |
太田川交流館かけはし(旧加計駅の町営無料駐車場)をご利用ください。 【駐車場住所】広島県山県郡安芸太田町加計3505-2 |
| 電話番号 | 090-1350-9916 |
※営業日・料金・予約方法などは変更となる場合があります。来館前には、源田資料館公式ホームページをご確認ください。
源田資料館は、こんな方におすすめです
源田資料館は、こんな方におすすめです
✓ ブルーインパルスや航空機に関心がある方
✓ 源田實氏について知りたい方
✓ 日本の航空史に関心がある方
✓ 戦争と戦後の歴史を学びたい方
✓ 安芸太田町加計の歴史を知りたい方
✓ 吉水園や加計のまちなか散策とあわせて観光したい方
✓ 館長から直接お話を聞きながら展示を見たい方
展示資料はもちろん、建物の歴史や資料館誕生までの物語も含めて楽しめる場所です。 加計のまちなか散策とあわせて、じっくりと歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
訪れる前に知っておきたいこと
源田資料館は、地域の方々の手によって整えられた資料館です。
大規模な博物館のような施設ではありませんが、その分、展示資料との距離が近く、館長のお話を通して一つひとつの背景に触れられる温かさがあります。
また、建物周辺は道が狭いため、車で直接向かうのではなく、旧加計駅の町営無料駐車場を利用し、徒歩で向かうのがおすすめです。
土日祝日は予約なしで見学できますが、平日は貸切予約制となっています。
ゆっくり見学したい方や、館長のお話を聞きながら深く知りたい方は、事前に公式サイトを確認してから訪れると安心です。
源田資料館 よくある質問
まとめ
源田資料館は、単なる展示施設ではありません。
解体が検討されていた一軒の住宅が、多くの方の想いによって資料館として生まれ変わった場所です。
館内には、源田實氏の功績を伝える資料だけでなく、その人柄や、家族の想い、地域の人々の努力が込められた展示が並んでいます。
ブルーインパルスの創設に関わった人物としての源田實氏。
航空自衛隊の歩みに関わった人物としての源田實氏。
そして、戦没した仲間を思い、毎朝手を合わせていた一人の人間としての源田實氏。
源田資料館では、そのさまざまな側面に触れることができます。
展示を見るだけでなく、ぜひ館長のお話にも耳を傾けながら、源田資料館ならではの歴史と物語を感じてみてください。