夏目漱石も愛した広島の高級柿、江戸時代から続く稀少種「祇園坊柿」のルーツに迫る
秋を代表する果物「柿」
あきおおたには、あの夏目漱石も秋の味覚として楽しみにしていたといわれる柿があります。
同じ広島原産の西条柿と比較して、実が非常に大きく緻密でメロンにも勝るも劣らないさっぱりとした上品な甘さと香りが特徴で「柿の王様」ともいわれるあきおおたの特産品「祇園坊柿」のルーツについて迫ります。
古来より大切に受け継がれてきた稀少種「祇園坊柿」とは?
祇園坊柿は、大きくて種の無い渋柿です。
初めて見るとその大きさに驚きます。広島原産の柿の古品種で、江戸時代から植えられている稀少な柿の木です。この柿のほとんどがこの町で作られており、古くから暮らしと共に大切に受け継がれています。
殿方も喜んだ「美味しさ」
江戸時代に現在の広島県安佐南区祇園にある祇園坊という寺(現在の安神社)の住職が発見した品種で、大きな実の形がお坊さんの頭に似ていることから、「祇園坊柿」と名付けられたと言われています。また、広島県藩主浅野公へ献納されていました。
皇居内にも植えられる「貴重な柿の木」
祇園坊柿の木は、江戸城跡の皇居外苑東御苑(東京都千代田区)にある「果樹古品種園」でも見ることができます。 この場所は、天皇陛下の発案によって作られた果樹園で、江戸時代以降全国的に稀少になった果樹が選ばれ植えられています。
ギオンボウ以外にも、静岡県東部の四溝(ヨツミゾ)、神奈川県の禅寺丸(ゼンジマル)、岐阜県の堂上蜂屋(ドウジョウハチヤ)、京都県南部の豊岡(トヨカ)などの古品種と共に並んでいます。
柿の木が土地を選び、人がその地に根付かせる
祇園坊柿は、とてもデリケートな品種で、気候や気温に対して敏感で、常に手入れが必要です。
柿作りの名人は、「木の健康管理が一番大事」と枝先が折れていないか、害虫がいないかなど指先に神経を集中させてくまなくチェックします。
生育条件にあう土地が少ないことから稀少な「幻の柿」と言われており、広島県の太田川上流域が適地といわれています。
日本一の生産量を誇るあきおおたの中でも特に盛んに栽培されているのが「寺領地区」と「津浪地区」です。
山々の紅葉が美しく染まる頃、大きく実る柿を町中で見ることができます。また、町内の至る所で収穫された渋抜き前の柿が並び始めるのもこの頃です。
毎年この時期を楽しみに待つファンの方も多く、午前中には完売することが多いです。
秋も深まり紅葉のピークが過ぎようとする頃に、各家庭の軒先で干し柿を吊るされた光景が日常的な風景となります。
想いをつなぐために、色んな形に姿を変える「祇園坊柿商品」
「甘さ」「香り」「風味」など甘柿にも勝る祇園坊柿が旬な時期になると、柿が使われた商品が並び始めます。
贈り物(贈答用)としても人気が高い上品な「干し柿」
上品な甘みや柿本来の風味が根強く愛されており、贈り物としても人気が高く毎年この時期を楽しみにされている方も多いです。
とろ~りとした触感を残しながら、干し柿特有の凝縮された甘みが口の中いっぱいに広がります。
一本ずつ丁寧に作られる、祇園坊柿の干し柿スイーツ「チョコちゃん」
スティック状にカットされた干し柿の先にホワイトチョコや抹茶チョコがコーティングされている新感覚の大人のスイーツ。お茶やコーヒーはもちろん、ワインなどお酒にも合うと人気があります。
道の駅でしか買えない「柿商品」もある
広島県北部の玄関口中国自動車道「戸河内IC」前にある道の駅来夢とごうちでは、地域の方がつくる「祇園坊柿入りの甘酒スコーン」「祇園坊柿カヌレ」なども期間限定で並びます。
地域でつなぎ、これからも文化を育む
『柿は残さないといけない、柿が無くなれば、この地域の風景が失われてしまう』と話す生産者さんたち。
丹精込めておいしく育てられているこの味を、そして生産者さんの熱い想いをこれからも地域で大切に繋ぎ風景を守っていきます。
あなたもその美味しさと想いを味覚を通して感じてみて下さい。
柿(下記)をクリックすると「美味しい」に出逢えます。
一度食べると、また秋が恋しくなる味です。