春を告げる山野草、広島の里山にある小さな命【花・植物】
寒い冬が終わり、あたたかくなり雪が溶け始める早春の頃、春の訪れを告げる色々な山野草が可憐な姿を見せ始めます。今回は、あきおおたの小さな宇宙の世界を少しだけ紹介していきます。
里山を歩きながら、または登山中に何の変哲もない景色の中で、珍しい微かな彩りを発見すると、宝物を発見したような気持ちになれます。
最後に、観察や撮影時のお願いもあるのでご協力お願いします。
「春の妖精」とも呼ばれるホソバナコバイモやカタクリ
春先にきれいな花をつけたあと、いつの間にか地下に姿を消す植物。
春のはかない命(スプリングエフェメラル)という意味合いで「春の妖精」とも呼ばれます。
ホソバナコバイモは、細長い釣鐘状の花、カタクリは紅紫色の太陽に照らされて反り返った花が特徴です。
早春に群生して美しい花を咲かせるので、古くから日本人に親しまれています。
加計ICを降りるとすぐ津浪集落があります。そこでは3月上旬~4月上旬ごろにホソバナコバイモやカタクリの群生が見られます。
陽のあたる時間だけ開花するアズマイチゲ
ホソバナコバイモやカタクリよりやや遅れた頃に、道の駅来夢とごうち周辺でアズマイチゲが顔をのぞかせます。
花弁はなく、白い花びらのように見える8~13枚のガクを持ちます。天気がよく、陽のあたる時間しか開花しないので鑑賞時間が限られています。
1本の茎に1輪だけ咲く花なので漢字では「東一華(アズマイチゲ)」と書かれます。はじめの文字の東(アズマ)という文字は最初に東日本で発見されたからだそうです。その後、西日本でも発見されました。
この他にも、季節を感じられる多種多様な山野草や新緑の世界
そして少し足を延ばして山に入ると、コブシ、山つつじ、山桜、ヤマブキ、キレンゲショウマ…それぞれの時期にそれぞれの場所で花を咲かせます。
キレンゲショウマは、田之尻あじさい園の紫陽花が終わった後に咲いています。5月下旬から6月上旬にかけては恐羅漢で見られるサラサドウダン(花言葉は「明るい未来」)も鈴なりの花が可愛らしいです。
新緑前に春の訪れを教えてくれる山野草や綺麗な花々、ドライブや登山で春を感じてみて下さい。おいしい空気と気持ちの良い風がごちそうです。
この時期は山々の恵み「おいしい山菜(ふきのとう、たらのめ、ふき、こごみなど)」も太田川産直市に並びはじめます。
ここでは、全部を紹介はできませんでしたが、「話を聞いてみたい」「一度歩いてみたい」などのご希望があれば、町内の山野草などに詳しい里山ガイドさんをご紹介できるので道の駅来夢とごうちへお気軽にお問合せ下さい。
【さいごに】みんなで大切につないでいきましょう
これらの山野草、「持ち帰って自宅の庭で育てよう」という方がいるかもしれませんが、絶滅危惧種や天然記念物に指定されているものもあります。
「ひとつだけ」と思っていてもみんながとることで毎年鑑賞できていた山野草が二度と見られなくなる可能性もあります。
【お願い】
また来年も再来年も小さな命に出逢えるようにご協力をお願い致します。
・私有地への駐車、立ち入り(近隣の空き地や休耕田などは全て私有地です)
・山野草の採取
・ごみのポイ捨て
山野草は鑑賞・撮影するだけにして、みんなで大切にしていきましょう。